2010年10月25日月曜日

新興国投資事業のシナリオ分析

Financial Crisisがひと段落した今年、新興国投資が世界中で加熱しています。しかし、10年後に、日本発の新興国投資ビジネス(≒日本の資本、人材、技術をレバレッジした投資)はどういった形になっているのか、いやむしろ、存在しうるのか?その絵姿というのは必ずしも決定的では無いと思います。

このシナリオを考えるに当たっては、かなり沢山のリスクファクターを考える必要がありそうですが、その中でも、日本国内での新興国事業への関心度と、国際政治/国際マクロ経済の安定性、という2つの要素が不確かで、かつインパクトが大きいように感じます。


この表では、まず、一番左に新興国でのトレンドを挙げ、右の2列で、それぞれ、新興国事業への関心、国際政治/マクロ経済安定性の2要素の「説明変数」を挙げました。例えば、日本のビジネスパーソンの語学力が今後向上していくか、は、新興国事業への関心が高まるか、という論点に大きく影響を与えそう、といった感じです。ここで挙げた説明変数のうち多くは、今後どうなるかちょっと分からない要素だと私は思います。


さらに、上に挙げた2点をそれぞれ、縦軸・横軸に取って、4つのシナリオを考えたのがこの図です。左下のBusiness as Usualは、日本も世界も自国内の経済にリソース(人材・資金等)を割く、国境によって分断された古典的な国際経済です。このシナリオでは誰も損も得もしません。右下は日本だけがビジネスの国際統合に加わらず、沈没していく最悪のパターンです。

私のように新興国事業に関心をもっており、かつプロジェクトマネジメント系のスキルに偏った人間にとってみると、右上の新産業誕生シナリオが一番望ましいです。しかし、国際政治/マクロ経済が極めて不安定になった場合、個別の企業のファンダメンタルを向上して利益を得る投資モデルは成り立ちにくく、為替リスクや政治リスクに基づく裁定取引モデルが主要なビジネスモデルになるでしょう。この場合、マクロ経済とファイナンスのスキルを持った人がパッシブな投資で活躍する。

で、実際にどうなるか、というと、おそらく、この裁定取引モデルと新産業誕生モデルの中間くらいになるのではないかな、と思います。この場合、マクロ(国)とミクロ(企業)の双方をバランス良く見ることのできる事業体が成功するという総花的な結論になります。

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先週授業で習ったScenario Analisysというものを使ってアタマの体操をしてみました。そもそもこのプロセス、サイエンティフィックではなくて、かなりintuitiveです。恐らく、上に挙げたX軸とY軸以外にも色々な軸の組み合わせがあるだろうと思います。皆さん、考えてみてください。そして教えてください。

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