2010年5月31日月曜日

on the way

もうすぐでMBA一年目が終わろうとしている。

正直なところ、えっ!という感じである。まだまだ自分のちからが足りない。こちらに来て、分かったことは、世界中のライバルを相手にして、自分の思い通りの人生を描いていくために必要なのは、明確な戦略、計画性と専門特化。MBA生の間でも、個体間の総合的な戦闘力みたいなものの差は若干ありはするが、全ての点において他を凌駕できるような人はいない。というかそんなコトには誰も関心を持っていないんじゃないかな。

むしろ、絞りこんだ目標にむかって戦略を立て、それをこなしていき、ごく限られた一点だけでいいから日本トップ、世界トップになることが大事。というか、それしか出来ない。10ヶ月の間でレンガでぶん殴られるような経験を数々して、学んだのはそういったことだった。

そして、MBAのすばらしいところは、そんな一点突破の作戦を立てるためのリソースが揃っているところ。自分のスキルを相対的に比べることの出来る同世代の学生が山ほどいるし、今後の世の中の動きを一緒に考えることの出来るスバラシイ教授陣も揃っている。

そんなスバラシイ高みからも自分のフィールドである途上国のインフラ・イノベーション・投資事業は限り無く魅力的に見える。世の中にある、ありとあらゆる魅力的な機会と比べても、自分の好きなものの放つ光は色褪せない。20歳のとき初めてホーチミンの空港に降り立って、タクシーの運転手やら売り子やらが暗闇から鋭い目を光らせているのを見た時に感じた、興奮した気持ちというのは、変わらない。

しかし、スキルが足りない。これから時間をかけて学んでいかないといけないスキルが限り無くある。結局まだまだon the wayだ。それが面白い。まさに猪木ismである(笑)。

「人は歩みを止めたときに、そして挑戦をあきらめたときに年老いていくのだと思います。」

2010年5月22日土曜日

Chicago Booth校舎自慢

ドタバタ中で、あまり気合の入った投稿ができません。ということで、Chicago Boothご自慢の校舎の写真を載せます。



外観。


教室はこんな感じ。これは先日のカンファレンスの写真だな。


最近カフェに加えて新しく売店が出来ました。コーヒーがウマイ。焼きそばパンは売っていません。


二つある自習室のうちひとつ。何か温室みたいですが時間帯によってはこっちのほうが人が少ないので集中できる。


なぜか壁にFama-Frenchモデルが!

2010年5月13日木曜日

Chicago Microfinance Conference

僕はどうもヒネクレているところがあって、はやりモノには手を出したく無いと常日頃思っているのですが、結局アンチであって得したことはほぼ一度として無いので、シカゴのマイクロファイナンスカンファレンスをちょっと手伝っていました。

このカンファレンスは、大学レベルで開かれるマイクロファイナンス関連のカンファレンスの中では最大のモノで、KivaやFINCAといった有名なMFI (Microfinance Institution)やIFC、それからKelloggやUCLAのアカデミアも招聘している大規模なものなのです。カンファレンスに出席して面白かったのは以下の4点。

(1) 技術革新とマイクロファイナンス
ツイッターでも書いたのですが、東アフリカのM-Pesaという携帯送金サービスは500万しか口座の無かったケニアで3年で900万も口座を作ったらしいです。他にもクラウドを活用する話が紹介されたり、やはりイノベーション関連の話は面白いです。

(2) 競争と利子率
MFといえば高額な利子率(ものによっては年間60%)が若干悪名高い。これはデフォルトリスク(Group Lendingの場合低いようですが)、アドミンコストに加えて、「競争の少なさ」がかなり大きな理由になっているというのが、パネリストの間での概ねの合意でした。逆に今後20年で競争が激しくなり利子率も下がっていくだろう、とのこと。

(3) "Social"を"Business"にPlug-inできるか
"Wall Street"的、あるいは(先進国の)商業化の視点からは、MFIを立ち上げるまでに時間がかかりすぎること、スケールが小さいことが足かせだそうです。ふうん、と思ったのが、社会貢献的な投資に関して、投資家は「リターンは妥協しないが、高めのリスクを取ることはありえるだろう」という話。確かにリスクの算定というのは仮説の積み重ねだろうからなぁ。

(4) 難しい分野
実は農業関連の貸付は全体の4%に過ぎないという話には衝撃を受けた。途上国の人口の大半が農業従事者ですからね。それから、クリティカルマスに達しない島嶼国での事業も今後の課題らしい。

IFCのMicrofinance Groupのヘッドの話が一番面白かった。10年くらいロンドンでコンサルをやっていた方なのですが、10年後、20年後の業界を見据えて仕事をされている。彼曰く、まずはフィールドでの経験を積め!とのこと。これはこの分野だけでなく途上国事業全般に言える事だなぁ。僕自身、最近、早く現場に出たくてうずうずしています。特にこの分野に関しては現場感覚が全くないからまだしっくり来ていない、というのがホンネのところです。スミマセン。

この分野はプロフェッショナルが沢山居ると思いますが、もし認識が間違っているトコロがあれば教えてください。

さて、来週はムハマド・ユヌスが来るということで、そのロジを手伝っています。

2010年5月6日木曜日

常磐の緑色映ゆる

ということで、シカゴは初夏です。


Boothの近くのMain Quadも人であふれている。



アメリカンなデザインの消防署も初夏である。



ここまでツタで覆われていると若干グロいが歴史を感じさせる家。



良く分からない花も生命の息吹をふりまいています。



色的には好きだけど、何となく見ていて不安な気持ちになる家。

2010年5月3日月曜日

パール・バック「大地」

中国ネタばかり書いていてふと思い出したこの本。中国北部の貧しい農夫が「美人じゃなくていいから良く働く奥さんをください」といって結婚し、時代の波に翻弄されながら富を築き、しかし家族は引き裂かれ・・・という王道な大河小説。最後は孫の世代の話になり、アメリカに留学するあたりかなり共感できたりするのだが、それはおいておいても、物凄く面白いです。GW中に是非どうぞ。4巻読みきる自信の無い方は1巻だけ買って読んでもとりあえず完結するので試しに読んでみると良いかも。

大地 (1) (岩波文庫)大地 (1) (岩波文庫)
著者:パール・バック
販売元:岩波書店
発売日:1997-02
おすすめ度:4.5
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大河小説ものでは高校の頃にこの本を読んで激しく感動した。これも女性作家、中国、3世代ですが時代的には文化大革命の頃が中心となっている。

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)
著者:ユン チアン
販売元:講談社
発売日:2007-03-06
おすすめ度:4.5
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そして、世代をまたぐ大河小説といったら、これに勝るものは無いのではないでしょうか。上の二つとは全く違うテイストです。また読んでみたい。

百年の孤独百年の孤独
著者:G. ガルシア=マルケス
販売元:新潮社
発売日:1999-08
おすすめ度:4.5
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ちなみにガルシアマルケスもパールバックもノーベル文学賞作家ですね。

2010年5月1日土曜日

中国発 新たな価値体系(2)

さて、前回の続きです。もしも僕が途上国の元首であったら、恐らく中国にまず飛んで教えを請うのでは無いかと思います。日本の政策転換・経済成長といえば、(1)江戸末期+明治と(2)高度経済成長期ですが、直近20年間の成長モデルではないので。まぁ、実際にラオスとかは高級官僚を政治教育のために中国に送り込んでいますが。

と、いうことで、中国の成長を支える行政の仕組みについて書きます。

(1)成果主義と競争
驚いたのが、中国の行政組織の徹底した成果主義。例えば地方自治体の長は、対象とする地域の経済成長率で評価されるらしい。より末端の行政サービス、例えば教育でも、学校の先生は担当学級の試験の点数の平均で評価される。「外部環境に大きく依存する政策や行政の評価は困難」、という反論がありそうだが、中国では恐らく個人の適正な評価ではなく、「如何に効率的に経済成長するか」が第一の目標で、その為に人事制度が存在するのだろう。誤差は切り捨てる。そしてこの仕組みを支えているのが熾烈な競争だと思う。

(2)明確な国家戦略
今回会ったビジネスパーソンの多くは、中国の第一の外交政策は「資源の確保」であると語っていた。数年前から中国のアフリカ投資は国際協力業界に風穴を開けて来たが、これからは南米にも進出していくということらしい。面白いのが、多くのヒトが同じことを語っている、という点。それだけ政策に一貫性があり、また、そのメッセージをちゃんと受け取ることで、儲けられる、ということだと思う。

(3)柔軟性
インフラ投資家達は、「世の中で一番流動性の低いアセット(=インフラ)に外国資本が注入されることを恐れるのは馬鹿げている。必要であればアセットを守るための法律なり何なりを定めておけばいいではないか。」という。まぁそこが政府側から見たPPPの難しいところだと思うが、中国は国が管理すべきイシューと、外資を入れるべきイシューの線引きをうまくやっているように見える。そして対応も柔軟で迅速。パートナーシップのとり方もうまい。例えばこんな会社と組んで、南米に投資している。

こういった行政の仕組みの背景には専制的な政治体制があることはいうまでも無いし、欧米の人権団体が色々文句を言うのも分かる。ただ、個々の施策から学ぶことは驚くほど多そうである。そして途上国ビジネスに及ぼす中国のインパクトは限り無く大きい。