2010年12月31日金曜日

2010年終わり

あっという間に今年も終わり。本当に色々なものを得られた一年でした。

授業ではファイナンスからマーケティングまで、かなりの数のケースを読みこなし、インターンでの経験も含めてハードな「問題解決スキル」をしっかり身につけられたように感じていますし、自分のスキルに自信が持てるようになってきました。

しかしクラスで得られたことは今年のtakeawayの半分にも満たない。Emerging Markets GroupやJapan ClubのCo-Chairとしてイベントを企画していく中で、グローバルな環境で「やっていく」、自分の強みを出してチームとして成果を出すことが出来るようになってきました。

そして何よりも大事なのが自分のAspirationの進化。就職活動、ネットワーキング、アジアやDCへのトレックを通じてアツい出会いがありましたし、 夏の日本滞在期間中やtwitterを通じてもCareer Aspirationを共有できる素晴らしい友人と知り合うことが出来ました。そんな出会いを通じて、自分が今後10年、20年かけて、何を築きあげたいか、そのために今、何をするかがはっきりしてきたと感じています。

本当に素晴らしい一年でした。支えてくれた友人や先輩、家族に感謝です。

しかし、自分の変化のスピード以上に、世の中の変化のスピードが速い一年でもありました。欧米の投資家からのアジア・アフリカへの投資熱は歴史的な高まりを見せましたし、日本でもアジア・アフリカを見る視座が大きく変わったように感じています。日本に一時帰国して、大企業の新興国ビジネスへの関心の高さには驚きましたし、20代、30代の同世代の人たちがどんどん新しい事業を起こしている。新卒の就職活動をしていた5~6年前は、途上国なんてオカネにならない、といわれ続けていたのが、大きな変化です。

「ようやく時代が追いついてきた」と言いたいところですが、その波に乗り切れるだけの力がまだ足りない。アイデアが足りない。新興国への投資と事業開発を通じて、日本と新興国の架け橋となる、そのためにはどう動くか。2011年は、もっと果敢にアクションをとって行きたいと思います。

と、いうことで、今年の最後の一枚は、先日行ったContemporary Art Museumで撮ったタモさんの絵www


来年もまた、宜しくお願いします!!

2010年12月30日木曜日

今年の面白かった小説4選

学期中は何故かまったく読む気になれないのですが、旅行中や休みの期間、日本語で小説を読むと非常に幸せになります。と、言うことで今年読んだ何冊かの中で、ベストの4冊はこちら。

アブサロム、アブサロム! (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-9)アブサロム、アブサロム! (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-9)
著者:ウィリアム フォークナー
河出書房新社(2008-07-11)
販売元:Amazon.co.jp
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最初の半分くらいを読んでいるところでは、ありがちな大河小説か?と思うのですが、後半話が進むにつれて、重層的にストーリーが織り込まれていく。その重厚さに圧巻されました。南北戦争後のアメリカの社会変動と差別を背景にかかれた一冊。

冷血冷血
著者:トルーマン・カポーティ
新潮社(2005-09-29)
販売元:Amazon.co.jp
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中西部の田舎町で起きた一家殺人事件を追う一冊。緻密な調査に基づいて書かれた実話で、事件を追う緊張感とアメリカの田舎の乾いた風、そして犯人達の不可解で狂気じみた息遣いが伝わってくる素晴らしい本です。

少将滋幹の母 (中公文庫)少将滋幹の母 (中公文庫)
著者:谷崎 潤一郎
中央公論新社(2006-03)
販売元:Amazon.co.jp
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美しい日本語を味わう一冊。平安時代を背景とした寓話風の話で、読み進むにつれて不思議な雰囲気になります。

大地 (1) (岩波文庫)大地 (1) (岩波文庫)
著者:パール・バック
岩波書店(1997-02-17)
販売元:Amazon.co.jp
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これは前もとりあげましたが、中国を舞台としたオーセンティックな大河小説ながら全く飽きさせません。徹夜必死。

来年もちょくちょく時間を見つけて読んでいきたいなぁ。

2010年12月29日水曜日

サンクスギビング前後の食事情

サンクスギビングからレポートの連続提出、期末試験、旅行と嵐のような1ヶ月を終えて、ようやくひと段落しました。来週3日からは授業なので、にわかにそろそろ気合を入れ始めないといけないのですが、ブログもちゃんと書きたい!と思っています。ということで、リハビリにサンクスギビングあたりの食事情をアップします。

まずはP氏の家で食べたシカゴピザ。異常に分厚いチーズの層が体脂肪率に確実な一撃を与えます。シカゴ名物なのですが、一年に一回食べればそれ以上は食べたくなくなります。
さらにサンクスギビングに招かれていったZ氏の家で食べたターキー。非常にやわらかく、ソースも美味!前菜にでたパンプキンスープも濃厚な味わい。アメリカの料理は不味いと常日頃言っていましたが、彼の家でのディナーでイメージが大きく変わりました。家庭料理は旨い!
さらに我が家で開催のサンクスギビング日本食パーティー。僕の作ったカリフォルニアロールとウナギキュウリロールは大評判。
最後にやっぱりこれですね。山頭火。滅多にいけないシカゴ郊外にあるのですが、ラーメンはいつでも僕を幸せにしてくれます。

ところで昨日、地下鉄でラーメン特集を読んでいるアメリカ人がいました。山頭火といい牛角といい、日本食のアメリカでの普及には目を見張るものがあります。

2010年11月25日木曜日

ネクラなリーダーシップ

急な話ですが、リーダーシップというのは組織や物事を変えるために、周りの人を動かす力だと思っています。で、どういう性格の人が強いリーダーシップをもてるか、というと、やっぱり明るくて外交的であることは大事なんだろうな、と思っていました。というか、破天荒で豪放磊落で若干KYなところがあるくらいが良いと考えていました。

ところが、最近Amazonによる買収が報道されたDiapersの社長のインタビューを見ると、どうもこの社長は結構ネクラな感じがします。機械のように働いて、パートナーとのディスカッションと分析に多くの時間を使う。でも数年で大きな会社を作り上げるだけの手腕は確か。

カーライルの創業者の一人David Rubensteinも、かなりエネルギッシュですが必ずしも豪放磊落なタイプではありません。このスピーチの特に良いところは、人生の第一ステージ(学校でよい成績を取ること)に成功した人が、第二ステージでうまくいくとは限らない、というお話と、弁護士、行政といった仕事での試行錯誤を経て、かなり遅いステージで自分に最も適するPEという仕事にめぐり合った、というお話です。スゴい経歴ですが、ゲイツやジョブスのような、天才タイプではないし、野性的な嗅覚で生きているわけでもない。




こういった人達を見ていると、自分の性格を無理して変えようとするよりも、自分の長所と短所をいかに使い分けていくか、の方が余程重要だな、と感じます。性格なんて年をとってもたいして変わりませんし、足りないところは誰かに補ってもらえばいい。

まぁ、日本のネクラなリーダーといえばこの人ですしね…



大抵のMBAでは組織や社会でリーダーシップを担う人材を育てる、ということになっているのですが、まぁ確かに授業の中でも外でも色々と考えさせられることは多いようです。日本にいるときよりも、役割分担とチームワークの大切さを学んでいる気がしますね、不思議と。

2010年11月14日日曜日

最近の食事情


うまいコーヒーが飲みたい、ということで、昨日ダウンタウンのIntelligentsiaというコーヒーチェーンに行ってみたら、ペーパーフィルターでコーヒーをいれ、あらかじめお湯であっためておいたポットとカップでサーブされる、というアメリカでは有り得ない展開が。


まぁでも、そんな店は滅多に無いので、最近は週末にしっかり自炊してます。トマトを湯むきして煮詰めてホールトマトにしてパスタに入れたりとかね。変なこだわりを出しまくっています。


昨日つくった豚肉と白菜のだんだん鍋風スープもうまかった。塩としょうがとにんにくと日本酒でシンプルに味をつける。薄切りの豚肉が日本の薄切り肉の4倍くらいの厚さがあるので、ディジョンマスタードをつけて食べたらウマイのなんのって。これであと3日は料理作らなくて済むなw

平日は冷凍していた料理をチンして食べる。OLみたいな生活です。

2010年11月7日日曜日

Realism or Pessimism?

先日シカゴ大学でThe Emerging Markets Conferenceというのがあって、少しだけ参加してきました。何か今回のカンファレンスは凄くレベル感の違う人たちがレベル感の違う話をするという、明らかにアジェンダセッティングと招かれる人に問題のあるカンファレンスだったのですが、お陰で幾つか面白い議論を聞けました。

(1) Renewable Energy Panel
A: 某国際機関「ブラジル(北東部?)では水力発電と風力発電は補完関係にある。ダムの発電量が減る乾季は風が強いからだ」

B: ブラジルの起業家「いや、風力は日単位・時間単位のボラティリティがあるので、水力とは完全な補完関係にはなりませんよ。バッテリー必要。」

(2) Infrastructure Panel
A: 某コンサルタント「インフラ開発のポイントは、各プロジェクトの優先順位付けと、PublicとPrivateのWin-Winの関係と…(以下略)」

B: インフラディベロッパー(南米)「政府によるトップダウンのプロジェクトの優先順位付けなんてありえません。誰がプロジェクトを取るかっていうと、一番声の大きいアグレッシブな人。それだけ。」


両方の議論に共通することは、現場との距離と楽観主義の相関です。現場から遠い人の方が、楽観的な意見を言う。もしくは、偉い人の方が、パブリックに向けたポジティブなメッセージを発するのに対し、実務者の方は実際に物事を動かすための方法を語る。会場は実務者の意見は"Pessimistic"だという空気になっていたが、これはいかんと思う。トップダウンのアプローチがクリエイティブなアイデアにつながることは多いが、ファクトベースの議論はその前提条件。

僕としては、実務家の見解に大いに共感しつつ、ではどうすればいいのか、というのは悩ましいと感じました。まぁ、これは個人的には20年くらいかけて解決すれば良いイシューかな。

前者に関しては、@adachihayaoさんが昔仰っていたように、蓄電池のコストを加算した上でrenewableのコストを既存の技術と比較する、というのがもっとあっても良いと思う。後者に関しては、企業戦略と国の戦略では、達成すべき成果の多様性に大きな隔たりがあって、国の戦略のほうが数段難しいということだと思う。

2010年10月31日日曜日

MBA 気になった質問

昨日飲みすぎて二日酔いで苦しい一日でした。と、いうことで、久しぶりにMBA関係の話。これまでキャンパスビジットなどでアプリカントの方とお話する機会が多くありましたが、その中で気になった質問を3つ、挙げてみました。

Q1. 日本人に求められているものは何ですか?
A1. 特にありません。ハードスキルに関しては、国籍よりも職業ごとの差の方が大きいです。ソフトスキルに関しては、日本人の一般的なイメージは(良いものも、悪いものも)ありそうです。が、授業・グループワーク・イベント等でどういう形で貢献出きるかは人それぞれです。それに、シカゴの場合だと大体3割~4割はインターナショナルなのですが、それぞれの生徒が「お国柄」を振り回したら大変迷惑ですよね。

Q2. MBAに行く人ってやっぱりお金儲けなんですか?
A2. 確かにオカネとか社会的地位とかへの関心が高い人は多そうです。が、それを超えて、自分が自分の人生をかけて何を成し遂げたいかというのを考えている人も多いです。またそういったことを考える機会とリソースも多いです。

Q3.  今アメリカに行く意味はあるんですか?
A3. MBAという分野では、アメリカは突出しています。が、アメリカの経済のプレゼンスは10年前と比べると相対的に小さくなっていそうです。アメリカに行く意味が見つけられない人は、無理しないほうが良いのかもしれません。僕の場合、途上国ビジネスや開発援助の世界ではアメリカはとても強いので、多くのことが学べています。が、現場に行かないと得られない情報も多いので、シンガポールとか上海とかに行ってみたりしているわけです。

関心を持っている特定のセクターの「本場」がアメリカで、それに関連した教育プログラムがある場合は、良いでしょうね。

と、いうことでした。

2010年10月25日月曜日

新興国投資事業のシナリオ分析

Financial Crisisがひと段落した今年、新興国投資が世界中で加熱しています。しかし、10年後に、日本発の新興国投資ビジネス(≒日本の資本、人材、技術をレバレッジした投資)はどういった形になっているのか、いやむしろ、存在しうるのか?その絵姿というのは必ずしも決定的では無いと思います。

このシナリオを考えるに当たっては、かなり沢山のリスクファクターを考える必要がありそうですが、その中でも、日本国内での新興国事業への関心度と、国際政治/国際マクロ経済の安定性、という2つの要素が不確かで、かつインパクトが大きいように感じます。


この表では、まず、一番左に新興国でのトレンドを挙げ、右の2列で、それぞれ、新興国事業への関心、国際政治/マクロ経済安定性の2要素の「説明変数」を挙げました。例えば、日本のビジネスパーソンの語学力が今後向上していくか、は、新興国事業への関心が高まるか、という論点に大きく影響を与えそう、といった感じです。ここで挙げた説明変数のうち多くは、今後どうなるかちょっと分からない要素だと私は思います。


さらに、上に挙げた2点をそれぞれ、縦軸・横軸に取って、4つのシナリオを考えたのがこの図です。左下のBusiness as Usualは、日本も世界も自国内の経済にリソース(人材・資金等)を割く、国境によって分断された古典的な国際経済です。このシナリオでは誰も損も得もしません。右下は日本だけがビジネスの国際統合に加わらず、沈没していく最悪のパターンです。

私のように新興国事業に関心をもっており、かつプロジェクトマネジメント系のスキルに偏った人間にとってみると、右上の新産業誕生シナリオが一番望ましいです。しかし、国際政治/マクロ経済が極めて不安定になった場合、個別の企業のファンダメンタルを向上して利益を得る投資モデルは成り立ちにくく、為替リスクや政治リスクに基づく裁定取引モデルが主要なビジネスモデルになるでしょう。この場合、マクロ経済とファイナンスのスキルを持った人がパッシブな投資で活躍する。

で、実際にどうなるか、というと、おそらく、この裁定取引モデルと新産業誕生モデルの中間くらいになるのではないかな、と思います。この場合、マクロ(国)とミクロ(企業)の双方をバランス良く見ることのできる事業体が成功するという総花的な結論になります。

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先週授業で習ったScenario Analisysというものを使ってアタマの体操をしてみました。そもそもこのプロセス、サイエンティフィックではなくて、かなりintuitiveです。恐らく、上に挙げたX軸とY軸以外にも色々な軸の組み合わせがあるだろうと思います。皆さん、考えてみてください。そして教えてください。

2010年10月24日日曜日

ソーシャルなるもの

これまで聞いた話や読んだ本を総合すると、「伝統的」なソーシャルビジネスと通常のビジネスとの違いは、極論すると、財/サービスの違いではなく、サプライサイドがどういう意図を持って財もしくはサービスを提供しているか、にあるように思えます。

これを図にするとこうなります。既存の事業をうまく表現する言葉が無かったので、あえて"Greed"としました。


DemandとSupplyの二つの円をあわせるとこうなります。


こうしてざっくりとセクターごとに見ると、双方から提供されるサービスの差はそれほど大きく無さそう、というのがしっくりくると思います。例えば、真ん中に位置する、水・道路といったインフラ、医療、ファイナンス等はSocial/Greedの双方から提供される財/サービスです。

但し、両者共に制約条件があり、地域・経済水準によって提供される財/サービスに違いがあります。Greedは、少なくともコストを上回る値段での買い手がいない市場では財/サービスを提供しません。あるいは、規模の経済がはたらく事業では、クリティカル・マスに達しない市場に参入しません。対して、Socialは、リソースに限りがあります。従って、全ての財/サービスが全ての人間にあまねく行き渡っているわけではありません。

従って、途上国の所得が低い層にとっては、こんな感じに見えるのではないでしょうか。


ということで、Socialの側も、Greedの側も、緑・オレンジに色が着いた枠を広げようと頑張っています。Social側からすると、緑の枠を広げていくことに社会的意義を見出していて、Greed側からすると、オレンジの枠を広げていくことでオカネがもうかるようになっています。この枠を広げる方法は、技術革新・事業モデルの革新など、色々あると思います(※この枠を広げること自体をソーシャルと呼ぶのが最近の社会起業だと思います)。

どっちの側に属していても誰かの生活を良くすることは出来そうです。でも、片側だけでは世の中は成り立たなそうです。そして、どちらの側にいるとしても、枠を広げる仕事というのが一番面白そうな感じがします。

2010年10月18日月曜日

DC trek その2

さて、前回の続きでDC trekで面白かった企業の話を書きます。

Microvest: Microtinance Institutionを対象としたFund to Fund。MFIの中から優良企業を抽出してDue Diligenceをして、Deal、というパターンはPrivate Equity (PE)と似ている。リターンやROEも教えてくれて勉強になった。最近はMFIを地域の商業銀行が買収するケースも増えているらしい。業界のトレンドとしては雨後の筍のように増えたMFIが淘汰されながら、CommercialでTraditionalなLendingとConvergeしていくのかもしれませんね。

Roschild: ロスチャイルドといえば財閥といった感じですが、ブティック系の投資銀行らしく、DCのオフィスはグローバルの資源関係のPFIを担当しているとのこと。資源関係のPFIは行政とも密接に関わるし、コンゴ民のような普通のビジネスではリーチしない国で事業を行う。ということで、ポリティカル・ソーシャルなリスクをいかにコントロールし、緩和していくかという話がアツかった。

GEF: 環境関係のビジネスに投資するPE。大手のPEと比べるとディールの平均額は低いのですが、アクティブに経営に入り込んでいる模様。さらに林業のように他ではやらないユニークな投資も取り扱っている。この林業の話が面白くて、10-12年の投資期間でアフリカの数カ国に投資しているとのこと。アフリカの森林は減少しているし、燃料・木材としての需要は大きいらしい。よく考えると木ってアセットとしては結構いけてるよな。今後のトレンドとしては、中国・ブラジルからの新興国に対する投資の増加を挙げていた。

このほか、AESという電力関係の投資(+事業)会社も訪れたのですが、セクター特化型の投資事業は強いな、と感じました。逆に今回訪れたようなアメリカに本社をおき世界中に投資する企業では特定地域への特化は難しいわけで、何が差別化要因になるかというと特定セクターへの専門性なんでしょうね。

2010年10月17日日曜日

DC trek

DC trekに行ってきました。これはEmerging Markets Groupのイベントのひとつで、15人くらいのグループでDCの途上国投資企業を数社、訪問するというものです。グループの日程は15日のみなのですが、僕は16日も滞在して知り合いや前職の先輩を訪問することに。9つの訪問先を回り、非常に充実した2日間になりました。

Emerging Markets業界、というのは、日本では存在せず、大企業や大手金融機関の事業の一部として存在するのみ(そして多くの場合出世コースではない)ですが、米国ではDCやNYにEmerging Marketsを中心ターゲットとした企業・ファンドが多くあります。マクロな背景としては、米国の盛んな起業熱に加え、産業構造の違い(日本のように垂直統合型ではない)が挙げられるでしょう。そんな中で、オルタナティブ投資や高いイールドを目的とした資本がこうした企業・ファンドに集まるのも不思議ではありません。

と、いうことで、Microfinance Insutituteから国際機関まで、多くの企業/組織に話を聞き、業界の最新のトレンドやキャリアディベロップメントの仕方を学んできました。グループの活動以外の、個人で取ったアポ先での議論もアツかった。キャリア関係で大学生の頃から長い間相談に乗ってもらっている先輩に5年ぶりに会って(電話やメールは頻繁にしていたんですけどね)今後の進路の話をしたり、前職の大先輩と国際協力に関するアツい話をしたり…。

この1年でDCは3回目なのですが、DCに来るといつも自分の「原点」が何かを思い出させられます。自分が目指すものは何か、そしてそこに至るために不足している能力は何か…。1年前にトレックに参加したときは、アメリカの企業に行くこと自体初めてで、質問するのも凄く緊張していて、2度目に冬に行ったときは、キャリアに関して限り無い迷走の中にいた。そんな1年間を経て、コミュニケーション能力、業界に関する知識、ネットワークのどれをとっても、大分進歩したなと感じます。少しずつですがキャリアビジョンもはっきりしてきたし。シカゴのパワフルな街並みから離れて端整なDCの街を歩きながら、そんなことを思っていました。

そんな感じで、最近大分調子が良いのですが、道は険しい。まだ2合目も見えていない感じだな。

ということで、個別企業の面白かった話はまた次回。

2010年10月11日月曜日

Cleantech Labが面白い

どうも、またまた日が空いてしまいました。2年生になってシカゴ生活に大分なれて来たものの、授業はどんどんハードになるし、グループの活動も仕切らないといけないので、結局大変さという意味では去年と変わらないような気がします。

MBA2年目では、アントレプレナーシップとインフラがらみのハイテクを深めたいと考えており、これが将来新興国に切り込んでいくに一番の近道じゃないかと何となく予想しています。ということで取った授業の中で、これは大当たりだな、と感じているのが、Cleantech Lab。イリノイ工科大学(IIT)の教授と一緒にバッテリー関係のプロジェクトをやっています。

IITの教授も、クラスの指導教官もクリーンテック業界に関する知見が深く、話しているだけで面白い。前職からそうでしたがエンジニア関係のプロと話すのは結構好きなほうだと思う。それから、チームの中ではプロジェクト全体の構造や計画を立てる役割を何となく担っているので、これもいい経験になる。ここにきて、ようやく自分の成長を実感できている感じです。

ところでIITのキャンパスはミース・ファン・デル・ローエ大先生により設計されたもので、広大な敷地の中に鉄とガラスでシンプルに作られた構造物が散在していて結構格好いい。そのうち写真アップします。

なんだかどんどんEmerging Marketsから離れていくようでもう少し時間をつぎこみたいのですが、今週末はまたDCに行ってきます。そこであらためて情報収集。

2010年9月30日木曜日

夏休み事情

夏に日本で知り合った@cloudgrabber氏の薦めもあり、バックパックで旅行しながら現地で働く人の話を聞く、というコンセプトで、インドネシア・シンガポール・タイ3カ国を回ってきました。同氏がBusiness Backpackerと呼んでいるスタイルです。具体的には何をやったかというと、ネットワーキングと、現地生活観察と、観光と、読書。

1.ネットワーキング
インドネシア・シンガポールではコンサル、ファンドに勤める方を中心に、Chicago Boothの先輩や、知り合いに紹介してもらった方とお会いすることができました。現地のインフラ・クリーンテック関係の投資・事業状況や、ポストMBAの付加価値の生かし方、ネットワークの作り方など数多くの示唆を得ました。特に印象深かったのが、シンガポールの起業家に対する手厚い支援(資金援助を含む!)に関する話や、ファンド起業家達のアツい事業戦略。直前でどたばたとお願いする形になってしまったものの、現地に行くとさらに他の人を紹介してもらったりと、思った以上に収穫がありました。来年の夏も絶対にやります。


2.現地生活観察
途上国に行く際の最大の関心事項は、その国の人がどういった生活をしているか、というもの。もちろんサンプル数が激しく少ないですが、それでも、統計やレポートで調べられる数字やファクトを、実際の生活を見て直感的に補完していくのが望ましい、と思っています。現場で得られるインサイトというのはかけがえのないものですしね。ということで、街歩き・村歩きが面白い。各国を見ての印象としては、ミドルクラス(もしくはそれより上位の皆様)のパワーはやはり力強い、ということですかね。アホみたいな結論ですが、もう少しじっくり見ないと分からないことが多そう。


インドネシアのスーパーマーケットはこんな感じ。ラマダンでしたが人でごった返している。


シンガポールに新しく出来たカジノ(Hotel Suns)の外見はビザールですが、中に入ると凄く楽しい。ショッピングモールや展望台といったファミリースポットも充実。


タイの農村は豊かですね。でもコレじゃ耕作機械入れなそうだな。

3.観光
もう出来れば観光したくないな、と思いました。ドラクエじゃあるまいし、昔の遺跡には特に興味もないなぁ。やっぱり今生きてるものを見たほうが楽しいですよね。休みがあるならリゾートでゆっくりだ。もしくは美食に命をかける。


と、いいながら、ジョグジャカルタ・ボロブドゥールは素晴らしかった。


半日しかいなかったですけど、やっぱりビーチで読書ですよ。


ということで、色々歩き回ってみましたが、最終的には仕事中もシカゴでもあまり出来なかった読書に時間をあてるようになっていきました。ひたすら小説を読めるのは幸せだなぁ。と、いうことでアウトドア系のひきこもり、といった旅行でした。

2010年9月27日月曜日

秋学期のクラス

Biddingも終わり、秋学期の授業確定。2年生の間は「新興国での事業開発」という将来のキャリア目標に向けて、EntrepreneurshipとFinance、Strategyと幅広く取っていくつもり。8月の半ばに何日間かかけて授業のレビューと目標設定を行い、結構細かく取る授業の検討を行って、良い感じの作戦が出来上がった。

今学期は結果として技術経営関係のクラスが多くなったが、昨年一年かかった基礎授業の履修を終えて、漸く応用クラスにたどりついた感じ。楽しみすぎて盛り上がっています。

1. Strategy Development
新しいビジネスモデルの開発と拡大のための戦略を扱うクラス。既存市場への参入(例:Dell)と、新規市場の立ち上げ(例:Walkman)の双方を取り扱う。時系列で見ても初期の事業開発から中期の拡大期までわりと幅広く扱いそう。この授業の面白いところは、HBSのケース(=既に実社会では結果が出ているお話)のみならず、現在発展中の(=つまり、どうなるかわからない)ビジネスも、報道や企業データベースを活用して分析するところにある、らしい。

2. Clean Tech Lab
クリーンテック企業・研究所と組んで、グループで事業戦略を立案するクラス。シリコンバレーほどではないが、シカゴにもクリーンテックの優良企業・研究所は数多くある。何しろ、シカゴ大とIIT(イリノイ工科大)があるからね。ということで、Hands-onの"Commercialize"経験が積めるこの授業はかなりアツい、と思う。

3. Managing in Organization
組織内でのリーダーシップを取り扱う「ソフト系」クラス。アプローチも経済学系というより社会学系でかなりフワっとしている感じではあると思うが、どうでしょうね。ちなみにシカゴ大は社会学も歴史的にかなり強かったりします。

1年生のときに感じたが、秋学期は結構忙しい。リクルーティング関係、学生グループ関係の活動もかなり激しく入ってくる。その中で、ワークロードが重いとされているLabコースを入れてみたので、相変わらず激しい学生生活になると思います。Emerging Markets関連の活動についてはまた後ほど~。

2010年9月18日土曜日

夏休み終わり!

夏休みが終わりに近づいてシカゴに戻って来ました。どうもインターンの関係であまり新ネタを報告するタイミングが無かったのですが、夏の間のtake awayをまとめると以下の通り。

1.インターン
ポストMBAが良く行きそうな会社2社でインターンをさせてもらいました。仕事の中で、思考法・アプローチの仕方を徹底して訓練することで、漠然としていた自分の思考過程を、プロセス化出来るようになったのが良かったです(抽象的ですが)。これは仕事のみならず人生全般に使えそうな気がする。担当した業界も自分が関心をもっている「広義の」インフラ関係で、かなりの知識を蓄積できましたし。

そして何より、この業界で何年も働いている先輩方にもまれる中で、自分の仕事の仕方やコミュニケーションの取り方について、良い意味で自信が持てるようになったことが良かったと思います。

2.ネットワーキング
新興国の事業開発関係の先達を中心に、多くの方と話をする機会を得ました。新しく(独立して)事業を立ち上げている方(もしくはこれからの方)が多かったのですが、事業のコンセプトや展望を聞き、議論をする中で、自分のキャリアプランが凄いスピードで強固なものになっていくのを感じました。知り合いの紹介や、コールドコールに近い状態で話を聞きに行くのはかなり緊張するし時間がかかるプロセスではあるのですが、それ以上の価値はある。

3.旅行
インドネシア、シンガポール、タイ、と半分休暇・半分ネットワーキングで2週間ほど旅行をしました。バックパックに革靴とちゃんとしたシャツを入れて歩き回るというのも異常な感じでした。良く考えるとこうして何も考えずにのんびりできる日々も久しぶりなので、しっかり充電。写真と簡単な感想はまた別にまとめようと思います。

と、いうことで、MBA2年目がもうすぐ始まる。来週は、Student Groupの活動を中心にもう既に色々なイベントが詰まってきている。この1年を昨年以上に充実したものとしたいっす!今、かなりワクワクしています。やるで~。

2010年7月12日月曜日

日本デス

実はしばらく日本に滞在しています。

何だかとてもドタバタしているので、ネット世界に入れませーん。読んでないRSSはとうの昔に1000通を超え、twitterも全然見てません。そんな事情に加え、大学等での物理的な情報収集が出来ないと、ブログとtwitterでの情報発信が極めて困難になるッス。

本当は色々と面白い経験をさせてもらっているんですけどね。ヒマな人は会いましょう。

とりあえず近況報告まで。

2010年5月31日月曜日

on the way

もうすぐでMBA一年目が終わろうとしている。

正直なところ、えっ!という感じである。まだまだ自分のちからが足りない。こちらに来て、分かったことは、世界中のライバルを相手にして、自分の思い通りの人生を描いていくために必要なのは、明確な戦略、計画性と専門特化。MBA生の間でも、個体間の総合的な戦闘力みたいなものの差は若干ありはするが、全ての点において他を凌駕できるような人はいない。というかそんなコトには誰も関心を持っていないんじゃないかな。

むしろ、絞りこんだ目標にむかって戦略を立て、それをこなしていき、ごく限られた一点だけでいいから日本トップ、世界トップになることが大事。というか、それしか出来ない。10ヶ月の間でレンガでぶん殴られるような経験を数々して、学んだのはそういったことだった。

そして、MBAのすばらしいところは、そんな一点突破の作戦を立てるためのリソースが揃っているところ。自分のスキルを相対的に比べることの出来る同世代の学生が山ほどいるし、今後の世の中の動きを一緒に考えることの出来るスバラシイ教授陣も揃っている。

そんなスバラシイ高みからも自分のフィールドである途上国のインフラ・イノベーション・投資事業は限り無く魅力的に見える。世の中にある、ありとあらゆる魅力的な機会と比べても、自分の好きなものの放つ光は色褪せない。20歳のとき初めてホーチミンの空港に降り立って、タクシーの運転手やら売り子やらが暗闇から鋭い目を光らせているのを見た時に感じた、興奮した気持ちというのは、変わらない。

しかし、スキルが足りない。これから時間をかけて学んでいかないといけないスキルが限り無くある。結局まだまだon the wayだ。それが面白い。まさに猪木ismである(笑)。

「人は歩みを止めたときに、そして挑戦をあきらめたときに年老いていくのだと思います。」

2010年5月22日土曜日

Chicago Booth校舎自慢

ドタバタ中で、あまり気合の入った投稿ができません。ということで、Chicago Boothご自慢の校舎の写真を載せます。



外観。


教室はこんな感じ。これは先日のカンファレンスの写真だな。


最近カフェに加えて新しく売店が出来ました。コーヒーがウマイ。焼きそばパンは売っていません。


二つある自習室のうちひとつ。何か温室みたいですが時間帯によってはこっちのほうが人が少ないので集中できる。


なぜか壁にFama-Frenchモデルが!

2010年5月13日木曜日

Chicago Microfinance Conference

僕はどうもヒネクレているところがあって、はやりモノには手を出したく無いと常日頃思っているのですが、結局アンチであって得したことはほぼ一度として無いので、シカゴのマイクロファイナンスカンファレンスをちょっと手伝っていました。

このカンファレンスは、大学レベルで開かれるマイクロファイナンス関連のカンファレンスの中では最大のモノで、KivaやFINCAといった有名なMFI (Microfinance Institution)やIFC、それからKelloggやUCLAのアカデミアも招聘している大規模なものなのです。カンファレンスに出席して面白かったのは以下の4点。

(1) 技術革新とマイクロファイナンス
ツイッターでも書いたのですが、東アフリカのM-Pesaという携帯送金サービスは500万しか口座の無かったケニアで3年で900万も口座を作ったらしいです。他にもクラウドを活用する話が紹介されたり、やはりイノベーション関連の話は面白いです。

(2) 競争と利子率
MFといえば高額な利子率(ものによっては年間60%)が若干悪名高い。これはデフォルトリスク(Group Lendingの場合低いようですが)、アドミンコストに加えて、「競争の少なさ」がかなり大きな理由になっているというのが、パネリストの間での概ねの合意でした。逆に今後20年で競争が激しくなり利子率も下がっていくだろう、とのこと。

(3) "Social"を"Business"にPlug-inできるか
"Wall Street"的、あるいは(先進国の)商業化の視点からは、MFIを立ち上げるまでに時間がかかりすぎること、スケールが小さいことが足かせだそうです。ふうん、と思ったのが、社会貢献的な投資に関して、投資家は「リターンは妥協しないが、高めのリスクを取ることはありえるだろう」という話。確かにリスクの算定というのは仮説の積み重ねだろうからなぁ。

(4) 難しい分野
実は農業関連の貸付は全体の4%に過ぎないという話には衝撃を受けた。途上国の人口の大半が農業従事者ですからね。それから、クリティカルマスに達しない島嶼国での事業も今後の課題らしい。

IFCのMicrofinance Groupのヘッドの話が一番面白かった。10年くらいロンドンでコンサルをやっていた方なのですが、10年後、20年後の業界を見据えて仕事をされている。彼曰く、まずはフィールドでの経験を積め!とのこと。これはこの分野だけでなく途上国事業全般に言える事だなぁ。僕自身、最近、早く現場に出たくてうずうずしています。特にこの分野に関しては現場感覚が全くないからまだしっくり来ていない、というのがホンネのところです。スミマセン。

この分野はプロフェッショナルが沢山居ると思いますが、もし認識が間違っているトコロがあれば教えてください。

さて、来週はムハマド・ユヌスが来るということで、そのロジを手伝っています。

2010年5月6日木曜日

常磐の緑色映ゆる

ということで、シカゴは初夏です。


Boothの近くのMain Quadも人であふれている。



アメリカンなデザインの消防署も初夏である。



ここまでツタで覆われていると若干グロいが歴史を感じさせる家。



良く分からない花も生命の息吹をふりまいています。



色的には好きだけど、何となく見ていて不安な気持ちになる家。

2010年5月3日月曜日

パール・バック「大地」

中国ネタばかり書いていてふと思い出したこの本。中国北部の貧しい農夫が「美人じゃなくていいから良く働く奥さんをください」といって結婚し、時代の波に翻弄されながら富を築き、しかし家族は引き裂かれ・・・という王道な大河小説。最後は孫の世代の話になり、アメリカに留学するあたりかなり共感できたりするのだが、それはおいておいても、物凄く面白いです。GW中に是非どうぞ。4巻読みきる自信の無い方は1巻だけ買って読んでもとりあえず完結するので試しに読んでみると良いかも。

大地 (1) (岩波文庫)大地 (1) (岩波文庫)
著者:パール・バック
販売元:岩波書店
発売日:1997-02
おすすめ度:4.5
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大河小説ものでは高校の頃にこの本を読んで激しく感動した。これも女性作家、中国、3世代ですが時代的には文化大革命の頃が中心となっている。

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)
著者:ユン チアン
販売元:講談社
発売日:2007-03-06
おすすめ度:4.5
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そして、世代をまたぐ大河小説といったら、これに勝るものは無いのではないでしょうか。上の二つとは全く違うテイストです。また読んでみたい。

百年の孤独百年の孤独
著者:G. ガルシア=マルケス
販売元:新潮社
発売日:1999-08
おすすめ度:4.5
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ちなみにガルシアマルケスもパールバックもノーベル文学賞作家ですね。

2010年5月1日土曜日

中国発 新たな価値体系(2)

さて、前回の続きです。もしも僕が途上国の元首であったら、恐らく中国にまず飛んで教えを請うのでは無いかと思います。日本の政策転換・経済成長といえば、(1)江戸末期+明治と(2)高度経済成長期ですが、直近20年間の成長モデルではないので。まぁ、実際にラオスとかは高級官僚を政治教育のために中国に送り込んでいますが。

と、いうことで、中国の成長を支える行政の仕組みについて書きます。

(1)成果主義と競争
驚いたのが、中国の行政組織の徹底した成果主義。例えば地方自治体の長は、対象とする地域の経済成長率で評価されるらしい。より末端の行政サービス、例えば教育でも、学校の先生は担当学級の試験の点数の平均で評価される。「外部環境に大きく依存する政策や行政の評価は困難」、という反論がありそうだが、中国では恐らく個人の適正な評価ではなく、「如何に効率的に経済成長するか」が第一の目標で、その為に人事制度が存在するのだろう。誤差は切り捨てる。そしてこの仕組みを支えているのが熾烈な競争だと思う。

(2)明確な国家戦略
今回会ったビジネスパーソンの多くは、中国の第一の外交政策は「資源の確保」であると語っていた。数年前から中国のアフリカ投資は国際協力業界に風穴を開けて来たが、これからは南米にも進出していくということらしい。面白いのが、多くのヒトが同じことを語っている、という点。それだけ政策に一貫性があり、また、そのメッセージをちゃんと受け取ることで、儲けられる、ということだと思う。

(3)柔軟性
インフラ投資家達は、「世の中で一番流動性の低いアセット(=インフラ)に外国資本が注入されることを恐れるのは馬鹿げている。必要であればアセットを守るための法律なり何なりを定めておけばいいではないか。」という。まぁそこが政府側から見たPPPの難しいところだと思うが、中国は国が管理すべきイシューと、外資を入れるべきイシューの線引きをうまくやっているように見える。そして対応も柔軟で迅速。パートナーシップのとり方もうまい。例えばこんな会社と組んで、南米に投資している。

こういった行政の仕組みの背景には専制的な政治体制があることはいうまでも無いし、欧米の人権団体が色々文句を言うのも分かる。ただ、個々の施策から学ぶことは驚くほど多そうである。そして途上国ビジネスに及ぼす中国のインパクトは限り無く大きい。

2010年4月27日火曜日

Chicago Booth Japan Club


Boothの日本人学生を中心に、今年の3月にJapan Clubを立ち上げました。このグループは日本のビジネスや文化を紹介することを目的としており、飲み会やJapan Tripなどを企画しているのですが、ついにグループのロゴが決定!マジでかっこいいです。某広告代理店の方にボランティアで作成をお願いしたものなのですが…。ありがとうございます。

近日中にTシャツを作りたい。

ちなみに、Japan ClubのポイントはJapan ClubであってJapanese Clubではないことで、アメリカ人のCo-Chairも入れて多くの学生に受け入れられるグループを目指しています。なぜか僕もCo-Chairの末席にいます。

2010年4月25日日曜日

中国発 新たな価値体系(1)

昔イエメンに出張で行ったとき、もうこの国を上回る衝撃を与えてくれる国と出会うことは無いのでは、と思っていたのですが、今回久しぶりに中国に行き、全く別のベクトルで物凄い衝撃を受けました。上海で会ったAmerican Chamber of Commerceのアメリカ人は、「中国は安価な労働力の供給先から商品の売り込み先へと変化している」と言っていました。が、僕の印象としては、中国はただ単に輸出大国・輸入大国なだけではなく、あたらな価値体系を生み出そうとしているのかな、と感じました。巨大な経済が物凄いスピードで成長する中で、物凄い数の試行錯誤が繰り返されており、それが中国以外の世界のどの地域でも見ることの出来ない新しいモノやValueを生み出しています。と、いうことで、中国の経済成長や、面白いアイデアを紹介出来るような写真を幾つか。

(1)成長率 * 経済規模
上海に過去10年間流し込まれたセメントの量は恐らく物凄いことになっていると思いますが、深圳はもっと衝撃的。
まるでCGみたいな街並み。
そしてそれを作り上げている恐るべき数の建機。こんな大量のストック見たことないです。

恐らくこの圧倒的なパワーや、変化の真っ只中にいるという実感が、現地の人々に物凄い自信を与えていると思います。今回、上海・香港で10数社に会いましたが、皆勢いがあり、日本ではついぞ耳にしたことの無い「10年後のビジョン」を自信をもって語っていました。

(2)面白い発想
当然ながら、日本や欧米をただ単に模倣しているわけではありません。新しいビジネスモデル、プロダクトデザインが生まれています。例えばコレ。
吉野家風の牛丼屋なのですが、このチェーン店では、丼の内側にアルミを貼って保温機能を高め、丼の作り置きを可能にしている。これでオーダーを受けてから丼を作るまでのサイクルタイムを短縮出来る。上海では賃金・地価の上昇のため労働集約的なビジネスだけでは競争出来なくなってきているので、今後もこういう面白いアイデアが生まれ続けるでしょう。顧客の柔軟性にも驚く(日本ではこんな丼受け入れられない)。


それから建築。上の写真のように、もう、ビザールとしか言いようの無い建築もありますが、中国建築設計研究院などの超大規模設計事務所のキャパシティ、デザイン・施工監理能力は凄い。世界の他の地域では見られないようなデザインのビルディングが立ち並んでいます。

こういった新しいデザイン・ビジネスモデルが物凄いスピード・規模で試行錯誤され続けている、というのが今の中国なのではないかと思います。次回はその背景にある行政の仕組みについて書きます。

2010年4月22日木曜日

BRICs Speaker Series


というのを企画して各国の専門家にBusiness Environment等を話してもらう、というのをEmerging Markets Groupでやっています。ということで今日はその第一回だったのですが、先日香港で知り合った弁護士がたまたまシカゴに来るということで、ランチの時間にBoothまで来てもらいました。プレゼンにはアジア系の学生を中心に30人くらいが来てくれて、さらにマリアンヌ大先生までいらして頂き、大いに盛り上がりました。

僕としてもネットワーク作りからロジまで一通りやったので、非常に良い経験になりましたが、マーケティングの仕方、アジェンダセッティング等についてはもう少し詰める事が出来たなぁと、若干反省。

ところで、マリアンヌ大先生というのはBoothの経済学の先生で、ジェンダー、法制度、社会的慣習などの外部要因が経済(もしくはミクロ経済に基づく個人・企業の意思決定)に及ぼす影響を研究している方です。リンク先の写真はかわいくて穏やかな感じですが、授業は超肉食系。まさにそのパワーこそが、膨大な量の研究を可能にしているのだな、と感じます。実際にBiosをみると、American Economic Reviewであるとか、主要なジャーナルへの投稿数が物凄い…。

今回は授業の合間に、「良かったら来てください」と声をかけたのですが、マジで参加してくれる辺りは、さすがBoothと言ったところです。彼女からは、「この話、授業で使いたいからもし出来たらプレゼンを送って」というあり難いお言葉をいただいたので、若干ですがBoothの授業にも貢献出来そうです。

ところで、Co-Chairの一人が↑のバナーを作ってくれたのですが、一番右は中国というより日本だよね。まぁ、今のところ誰もそんなこと気にしていないので放置。そんなもんです。

さぁ、今日は宿題をやりながら事業仕分けを見るかな…。

2010年4月17日土曜日

春爛漫@Chicago

冬が厳しいだけにシカゴの春はすばらしいですね。特にハイドバークは緑が多くて花も綺麗です。
暖かい日は半袖でいける。ここのところ雨も余り降らないし。
FFの戦闘画面みたいな校舎。
ダウンタウンに戻るとこんな感じです。
HSさん宅で奥様の作った料理をご馳走になってきました。美味しかったです。