2010年3月28日日曜日

Infrastructure Trek

しばらく時間が空いてしまいました。期末試験を終えた翌日から、「インフラトレック」で上海→香港→シンガポールと飛び回っています。10日間の行程で20社以上と会って、中国を中心に東南アジアの経済状況、インフラ開発の状況を聞き、ネットワークを広げる、というものです。発電所のIPPなんかだとコンソーシアムを作ってbidするというのが一般的なのだと思うのですが、大手の投資銀行からローカルのファンドまで、最近はインフラファンドというのを作って発電・有料道路・上水などの分野のPPPに参加しまくっているのです。オペレーターに関しては、例えば中国の上水分野では100以上の企業があるみたい。

インフラマネジメントを巡るプレイヤーの流動化という点では目からウロコが落ちまくっているのですが、それ以上に中国の経済成長ぶりとそれを支える政策には心から感嘆します。

月曜・火曜とシンガポールの企業を見てから日本に一旦寄り、シカゴに戻ります。昨日と今日は休日なので観光。マカオに行ってきました。シンガポールはGDP per capitaでは日本より豊かな国なので貧乏人として生活しています。

2010年3月15日月曜日

Customer Analysis on OLPC

僕としては国際開発(International Development)というのは極めてロジカルなプロセスだと思っているが、外国の話となるといきなり右脳全開になってしまう人がアメリカでも多い気がする。

100ドルPCで有名なOLPC(One Laptop Per Child)が学校に来たので話を聞きに行った。Linuxを使って途上国の教育向けにパソコンを開発し、アフリカや中南米の教育セクターに大量に流通させ、今も新しいラップトップを開発しているという話。現在開発中の新しいPCはキーボードもタッチパネル式になっているらしく、Nintendo DSを大きくしたようなインターフェースで面白かった。

しかし、何故、教育がターゲットになるのか?僕の印象としては、こういうラップトップは教育よりもインドやエジプトの中小企業での在庫管理や工程管理に需要がありそうな気がする。そんな中で、教育を対象にするのは、恐らく、エンドユーザーの都合というよりも、話題性とそれに伴う政治家等大口の顧客の獲得、大手企業からの支援の獲得といったメリットによるものではないかと思っている。

事業自体が教育に及ぼすインパクトは目下検証中、とのことであったが、今までどおりのChalk & Talkで授業を行うのであれば教科書とノートを大量に配ったほうが安くつくし、インタラクティブな授業が必要なのであれば教員の質を向上させなければならない。もちろん、ネット配信で独自の教育パッケージを提供できるようになれば、パソコンの優位性は確保できるかもしれないし、そもそもパソコンリテラシー自体が大事だという考えもあるとおもう。しかし、パソコンのエンドユーザーになる教員・児童・父母のニーズが(他の教育関連支出に比較して)現時点でそれほど高いとは思えない。(おそらくはある程度所得水準が高い国・地域であれば、パソコンのニーズは高いと思う。)

他方で、政治サイドとしてはこのパソコンは結構おいしい。アフリカで小学校を作ると現地の業者を雇ってもちゃんとモルタル塗った組石造であれば、1教室100万円程度はかかるので、同じ金で100個ラップトップを買ってばら撒いたほうが安くつく。事実、最初に買いにきたのはリビアのカダフィをはじめとする大物政治家らしい。

加えて、開発サイドに関しても、インドの中小企業に売る、という名目ではアメリカ国内で無償のサポートは得られないだろう。だから教育なのだ。戦略としては素晴らしい。PCを教育に如何に役立てていくかはパソコンを普及させながら考えていけばいいのだし、このプロジェクトが無ければアメリカのIT Geek達の能力はうまくMobilize出来なかっただろう。

ただ、若干宣伝の仕方が気になった。彼らのプレゼンでは、「水も食料も無い地域にパソコンを送る意味があるんですか?とお考えのかた、パソコンを「教育」に置き換えて考えてください。教育は全ての基礎になります。」というビデオが流されたが、こと教育に関して言えば、アフリカの就学率、識字率、平均就学年数を考えると、やっぱりちゃんと教えることの出来る人が田舎の何も無い地域でも教員として働くことができる環境を作ることのほうが余程大事な気がする。まぁそれは僕の勝手な思い込みかもしれないが、もう少しちゃんとパソコンが何で必要なのかを教えてくれてもいいんじゃないの?それとも、支援者は子供達がパソコンを貰って喜ぶ顔を見るために寄付しているのかしらん。

と、マジメに反論するのもいかがかと思うが、この業界は情報があまりにも非対称すぎる。それを使ってのプロモーションは少なくとも僕には出来ません。

2010年3月13日土曜日

インドのカイゼンとMissing Middle

先日のカンファレンスのプレゼンの話がまだ残っています。

某最大手コンサルタント出身のStanfordの教授が、現地のコンサルタントと組んでインドの28の繊維工場のマネジメントを改善して、平均で15%、生産性を向上、$500K/yearもprofitを上げることが出来た、という話があって、この話がMBA学生からは恐らく一番関心を引いていた。

具体的なマネジメントの向上の手法は、日本のお家芸的なカイゼンが中心。例えば5Sとか、定期的なデータ集計に基づく品質管理、在庫管理、受発注管理といったもの。対象はランダムに選定され、コントロールグループのデータとの比較も行われているので明らかなバイアスも無い。

ということで、問題は何故こんな明白なBusiness Chanceが眠ったままなのか?という話である。事業者サイドの分析としては、事業者のうち多くは、上で書いたような手法を単純に「知らなかった」か「間違って理解していた」ために実施していなかったということであった。事業者側にそこまでのインセンティブも無い、という話もあった。但し、資本の制約は「存在しない」とのことである。

他方で、投資家・コンサルサイドの分析としては、これは論文中では書かれていなかったので、僕の推測に過ぎないが、(1)途上国のPEは基本的に$25M以上の大規模投資を中心に行っており、Microfinanceはより小規模の事業主を対象とした投資を行っている、のでこの論文の対照となっている売り上げ$8M程度の会社に先進国からの投資はあまり行っていない、(2)大手コンサルはフィー・インパクトの関係から、基本的に業界のtopと仕事をしている、という2点が挙げられると思う。

Non-profitのファンド、例えばendeavorなどは、こういった事業を対象にしていると思うが、いずれにせよ、こういったEmerging MarketsのMiddle Sizeの会社に対する投資・コンサルタントというのは未だに空白地帯として残っているのではないか、と思う。別に僕が思っているわけではなくて、Missing Middleという割と大雑把な議論は結構前からされていたりする。

カイゼンという論点からは、実は僕も同じようなプロジェクトをエジプトでやったことがあるのだが、他にもこんな会社があったり、"Toyota kaizen Consultant"で検索すると色々な会社が出てくる。

2010年3月9日火曜日

春先のこの感じ

最近はシカゴも春の陽気で、気温8℃とか俄かに信じられないほど暖かいです。

夕暮れ時はさらに気持ちいいです。シカゴは19世紀から最近までのCutting Edgeな建築家達の作品が所狭しと並んでいるのですが、全くことなるコンセプトで立てられたこれらの建築物が不思議な調和を生んでいる。
と、いうことで、日本だろうがアメリカだろうがこの春先の感じはたまらなく好きです。エジプトではこの時期はハムシーン(砂嵐)の季節にあたり、部屋の中が砂だらけになるし、空も一日中黄色かったので、最悪でしたが。

来週は期末試験ということで、冬学期もあっという間に終わりです。秋学期のときもそうでしたが、この時期になると、体力・気力ともに衰えてきて、しかもやらないといけないことが山積みで、非常に大変です。日本にいるときは体力の限界が精神力の限界よりも先に来ていたと思いますが、アメリカでは言葉が違うこともあって、体力の限界よりも精神力の限界のほうが早く来るし、一日の作業時間がどうしても落ちてしまう。それが最近の悩みです。

まぁ、男塾では体力に限界があっても精神には限界が無いということですが、いくら男塾が好きでも体にウソはつけません。いずれにせよ、出来る限りのことをやろうと思っています。

2010年3月7日日曜日

Admit Weekend行ってきました

Admit Weekendというのがあって昨日はRound 1で合格した学生を対象にクラブ紹介をやってきた。我がEMG(Emerging Market Group)にも関心を持ってくれる学生はかなり多く、中には「こういう会社で働きたい」という明確なターゲットを持っている人もいた。Emerging Market関係の仕事というのは結構探しにくいので、そこまで掘り下げられている人は本当にスゴイ。

アメリカのJob Marketは超Competitive。そんな中で勝ち残る戦略の一つは、他人との差異化なわけで、シカゴの学生の中でも優秀だなー、と僕が感じる人は皆、アタマの回転が早いだけではなくて、狭く深く掘り下げたキャリアプランを持っている。もちろん、MBAはキャリアのショーケース的なところもあるので、幅広く見るタイプの人も多いのだが、やっぱりリスクをかけて絞りこんでいる人の方が職探しでも良い成果を得ている気がする。

素晴らしいのがEMGのCo-Chair達で、Non-profit, Infrastructure, Finance, Entrepreneurshipと多彩なキャリアを持った人たちとのディスカッションを楽しめる。Admit Weekendのあとは、1年間のグループの活動計画を議論。今後数十年の経済の成長を考えると、アジアやアフリカの途上国の成長は日本やアメリカを「確実に」outperformする筈なのに、まだまだシカゴの学生のEmerging Marketへの関心は低い。どうやって皆の関心を高めていくか?外部からの講師の招聘や、DCや外国へのトレックはどうするか?議論は尽きない。授業も大事だけれど、こういう議論をするためにアメリカくんだりまで来ているんだよなぁ。

しかしまぁ、彼らと話していると自分の力のなさ・情報量の少なさを痛感しますな。途上国での仕事の経験や知識では日本の同世代には負けない自信はあるが、途上国をフィールドとする以上は潜在的なライバルである彼らと比べて、自分のキャリアフォーカスやネットワーキングが如何に中途半端かというのを思い知らされて情けなくなります。

ところで、Admit Weekendは日本の学生にとっても結構面白いと思います。僕は去年は合格者として参加しましたが、シカゴのアメリカ人がどんな感じか、とか生徒がどんなところに住んでいるかとかを見ることが出来ますし、去年なんかはシカゴの有名な図書館の最上階にあるパーティー会場を貸しきって飲み会をやりました。Round 2の合格者の方も是非いらしてください。日本人一同で歓迎します。

2010年3月1日月曜日

高校の頃シバリョーをよく読んだがこの「峠」という小説は結構衝撃的だった。明治維新の頃、小藩である長岡藩出身の俊英河合継之助が明治維新の立役者たちと触れ合うことで成長していきながら、結局は袂を分かって長岡藩と命運を共にする、というお話、だったと思う。「竜馬が行く」みたいな爽快感はない。まぁ読後感は人によって違うだろうけど、当時、全く損な人生だな~と思った。

峠 (上巻) (新潮文庫)峠 (上巻) (新潮文庫)
著者:司馬 遼太郎
販売元:新潮社
発売日:2003-10
おすすめ度:4.5





最近このお話をよく思い出すが、どんなに優秀な人でも多勢に無勢、時代の波には勝てない。我々にとって見れば、好むと好まざると片足を突っ込んでいる日本が沈んでいく最中に、どうやって活路を見出していくかというのは中長期的には最大の課題(日本が沈んでないと思う人は人口増加率と経済成長率を他国と比較してくださいね)。長期的には国造りに関われればいいのかもしれないが、中期的には海外で儲けられるようになっておかなければならない。

ちなみに、完全にエクソダスするのは超難しいと思います。研究者やアーティストを除いて日本とのつながりなしで海外でバリバリ活躍している日本人は殆どいないんじゃないでしょうか。

最近のシカゴ事情

東海岸は大変そうですが、シカゴは先週、大分天気が良かった。
なんでやねんの標識。
これがシカゴ的なマンションの構造。面白いです。
暖かい日は雪もとけますが、まだしばらくは寒くなったり暖かくなったりのくりかえしでしょう。
最近結局毎日打ち合わせが入って完全休みの日がなかなか作れないのですが、なにはともあれこれがあれば生きていけます。6本で11ドル。まぁ、日本よりは格段に安いですね。最近ジムで走っています。ストレス発散と肉を減らすため。頑張ります。