2012年11月11日日曜日

アフリカは高い!


のです。Mercer社のWorldwide cost of living survey 2011の生活費ランキングによると、世界の214都市のうち、上位50位にサブサハラアフリカから10都市、51位から100位にも同じく10都市がランクインしています (http://www.mercer.co.jp/press-releases/1420615) 。これは、アフリカ諸国より概して所得水準の高い東南アジア諸国がおおむね51位から150位の中に入っていることを考えると、大きな驚きです。

アフリカ・東南アジア諸国の都市の生活費ランキング


  Region
Cost of living ranking Sub Saharan Africa North Africa SEA Others Grand Total
1-50 10   1 39 50
51-100 10   3 37 50
101-150 4 2 4 41 51
151-200 8 2 1 39 50
201-250 3 1   9 13
Grand Total 35 5 9 165 214
*SEA = South East Asia

では、どういった都市がトップにランクインしているか、というと、下の表の通り、やはり産油国。特にアンゴラとガボンは一人当たりGDPも高いです。ただし、ここで注目すべきは、ニジェールやセネガルといった、特段天然資源の産出量が多いわけではない国が入っていることです。

50位までにランクインしたアフリカの都市


2011
Rank
City Country GDP per capita Natural resources Geographic location Region
1 Luanda Angola                  5,148 産油国   南アフリカ
3 N’Djamena Chad                     823 産油国 内陸国 西アフリカ
12 Libreville Gabon               11,114 産油国   西アフリカ
23 Niamey Niger                     374   内陸国 西アフリカ
25 Victoria Seychelles               11,711   島しょ国  
28 Ouagadougou Burkina Faso                     600   内陸国 西アフリカ
39 Djibouti Djibouti                  1,202     東アフリカ
41 Lagos Nigeria                  1,452 産油国   西アフリカ
44 Khartoum Sudan                  1,234 産油国 内陸国 東アフリカ
44 Dakar Senegal                  1,119     西アフリカ


このトピックについては、面白いので今後もう少し深堀していきます。

2011年6月28日火曜日

Slow but Steady


シカゴを始めて訪れたのは3年前でした。本当は立ち寄る予定が無かったのですが、アメリカのMBAプログラムを幾つか訪問する中、空き時間が出来たので、ボストンから日帰りで、片道2時間の飛行機に飛び乗ったのです。

地下鉄に乗ってダウンタウンを通り、キャンパスに向かうまで、快晴のシカゴの街並みに、かつて無いほど衝撃を受けました。1800年代後半から、それぞれの時代の気鋭の建築家達が紡ぎ続けた不思議な調和―少なくとも、シカゴは、僕の訪れた他のどの街より魅力的でした。これまで、30数カ国を旅行し、もはや自分が感動できる街などどこにも無いと思っていたのですが。
 

経済学徒としてのシカゴ大への憧れはもちろん強かったですが、もしこの日、シカゴを訪れることがなかったら、シカゴが雨だったら、僕はシカゴ大に行ってなかったかもしれません。

そうして、数々の幸運な出会いに恵まれシカゴに合格し、2年が経ち、ついにこの街を出る時が来ました。

自分がやりたいと思ったこと、出来ると思ったことの全てが出来たわけではありません。楽しい!と思う時間より、悔しい、と思う時間のほうが圧倒的に長かったですし、どうすればよいか分からず、ひたすらもがいている時間が長かったように感じます。

ただ、その中で確信が持てたのが、自分なりに丁寧に物事を進めていけば、時間はかかっても必ず力はつくし、成果につながる、ということです。特に、仕事上のキャリアに関しては、もはや運としか言いようの無いような、例えば景気とか、意気投合できる人との出会いとか、自分ではコントロールできない荒波に耐えていく必要があります。しかし、そんな中でも自分の「カルマ」を信じ、戦略を立て、サイコロを振り続ける-チャレンジし続けることが、出来るようになって来たし、今後40年間、それをやり続ける自信と覚悟が出来ました。

そして、それを支えてくれる、素晴らしい友人との出会いがありました。シカゴに来る前に考えていたような「グローバルな環境下でのリーダーシップ」がついたかどうかは分かりません。ただ、一緒に新しい敵に立ち向かい、考え抜き、アクションを起こし、成果を分かちあうことの出来る、そんな友人に数多く出会いました。彼らとの繋がりは今後も続くでしょうし、これからもそんな素晴らしい出会いが世界中で起こりうるんだ、と思います。それであれば、日本の外でも、確実に、楽しく仕事が出来るな、と感じています。

今、アムステルダムに向かう飛行機の中です(※結局投稿はナイロビ)。これから、1ヵ月半、アフリカ・アジアの投資家や起業家を訪れ、将来の仕事への下準備をして、日本に戻ろうと思います。


と、いうことで、このブログはまだ終わりません。ですが、これまで、日本や、アメリカで、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。皆さんがいなければ、ここまで来れなかったし、これから先進み続けることも出来ないと思います。引き続き、よろしくおねがいします!

2011年6月5日日曜日

マイクロファイナンスと多重債務

今度訪問するケニアのベンチャーで働かれる方(日本人)から、南アジアで起こったようなマイクロファイナンスによる多重債務等の問題はアフリカでも起こるのか、という質問を頂いたので、以下の通り回答しました。

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御連絡ありがとうございます。非常に興味深い質問です。私は、
ケニア、もしくはアフリカにおいてもマイクロファイナンスに起因した多重債務等のトラブルは起こりうると考えています。

インド・バングラ等での多重債務に関しては、マイクロファイナンスのビジネスとしての有効性が急激に、そして過剰に世間に知れ渡ったことに起因すると思います。マイクロファイナンスは、借り手の債務返済能力の査定、担保等の取り方、債務不履行になった場合の対処方法などのルールを現地コミュニティの慣行にある程度フィットする形で作り上げ、借り手とコンタクトをとるスタッフのトレーニングを十分に行う必要のある、非常に多くの時間とコミットメントが必要とされるビジネスです。しかし、南アジアではムハマド・ユヌスのノーベル賞受賞などを受けて、急激にマイクロファイナンスに資本が投下された結果、しっかりしたビジネスモデルが出来上がる前に兎に角お金を貸してしまった、というのが実態ではないでしょうか。

対して、アフリカで多重債務等の問題が大きく取り上げられていないのは、おそらく、マイクロファイナンスがそれほど急速に浸透していないのと、比較的大規模な(審査能力がある?)商業銀行等が取り組んでいるケースが多いのと、担保の取り方やローンの徴収方法が違うからではないかと思います。例えば、ザンビアでは給与から源泉徴収の形で返済をするモデルがかなり広く浸透しているようです。政府もアクションを取ってはいると思います。確か昨年、ナイジェリアで政府がかなりの数のマイクロファイナンス機関に業務停止命令を出したと思います。ただし、こういった政府のアクションのインパクトは恐らく限られていると思います。

また、南アジアのマイクロファイナンス「ショック」は、かなり作り上げられたものではないかと思っています。そもそもアカデミックな研究でマイクロファイナンスが貧困層の所得を上げる、という結果がない(と理解しています)中で、マイクロファイナンスは貧困層を救う、というようなイメージが世の中に浸透してしまったのは何らかのマーケティング上のミスなのかもしれません。しかし、マイクロファイナンスが浸透する前は、貧困層は例えば地主などから非常な高利でお金を借りていたわけですし、多重債務等の問題は多くあったと思います(確かそういった研究は開発経済学の分野でかなりあると思います)そういった人たちに対して新たな資金源へのアクセスを与えるという点で、マイクロファイナンスの功績は非常に大きいものであると私は考えています。また、途上国で何らかのスキャンダルを作り上げて、ネガティブマーケティングをするのは非常に容易です。幾つかの悪いストーリで、マイクロファイナンス全体があたかも悪いかのように取りざたされてしまっているのは、残念です。

マイクロファイナンスの資金の流れは、投資家→銀行→借り手、という風になると思います。銀行から借り手へのフローに関しては、不十分な査定に基づく貸付を続けていると、銀行自体が多量の債務不履行を抱え損をしてしまいます。ファイナンスという商品は借り手にとって非常に分かりにくい商品ですので、借り手への教育というのは重要だと思いますが、長期的にみるとこのフローはある程度安定するのではないかと思います。また、政府も利子率の上限は定めていると思います。他方で、投資家(ソーシャルにせよ、コマーシャルにせよ)から、銀行への資金フローが、銀行のキャパシティを超えたものにならないか、というのが中長期的には大きな課題になるかもしれません。恐らく第三者によるマイクロファイナンス機関の査定などでグローバルなスタンダードがあるのではないかと思いますが、ここの資金フローをコントロールするのは、難しいかもしれません。また、アメリカではMicrovest等、マイクロファイナンス機関の査定をするファンドがあって、そういう仲介機関を通しての融資が一般的になるのかもしれません

とりあえず、私もまだしっかり勉強していないので、ケニアで色々な方とお話をする中で、もう少し知見を深めていきたいと考えています。

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最後に書いたとおり、私も勉強不足ですので、誤ったところがあったら教えてくださいねー。

2011年5月28日土曜日

ターゲットは誰か?

元IMFのチーフエコノミスト、Rajan教授が、「全ての決断はEthicalな要素を含む。ひとつの問いに対して色々な(Ethicalな)見解があることを忘れるな。」という名言を残して最終授業を終えました。感動の最終講義でした。

…途上国でのビジネスにせよ、開発援助にせよ、常に「誰がターゲットになるか」というのは結構重い問題です。特に開発援助に関して、現場から遠い人は、最貧層にアプローチせよ!の一点張りなのですが、現場に近いとそうも言ってられなかったりします。例えば、教育。昔ラオスで学校を作るプロジェクトをやっていましたが、残念ながら本当の最貧層にはアプローチできませんでした。理由は、最貧層は山奥に住んで焼き畑農業に従事し、そもそもインフラがないので建設コストが異常に高くなるから。そしてもし建設したとしても、彼らは移住するので長く施設を使ってくれないからです。

最貧層というのは基本的に市場からのアクセスが極めて悪いところに住んでいるので、特定のプロジェクトのみでアプローチしようとすると、コストが異常に高くなります。それに、最貧層の1人を学校に行かせるのと、少し貧しい層の1人を学校に行かせるので、どっちが社会全体の効用を上げているかというと、この答えを出すのは難しいです。

この問題は、基本的に何をもって評価軸とするか、という問題でもあったりはするわけですが、基本的に僕は以下の図のように考えています。インパクトとコストがある程度つりあうところから順番にアプローチしていく。そのうちに世の中も良くなっていくだろう…
 

まぁ、冒頭のEthicsに照らし合わせると、この問いに関する答えは三者三様なのだと思いますが、そういう見解もあるということで。

2011年5月20日金曜日

ひと息

さて、突然ではありますが、今年の6月で卒業します。

と、いうことで、周りは毎日のように(本当に毎日ある気がする…)パーティーに明け暮れており、まぁ僕も出来るだけ出席しようと考えているわけですが、今週はひとつ大きなプレゼンがあったほか、レポートの提出やら、卒業後の旅行の計画やらで非常に御多忙な日々となっています。

ま、とりあえずきょうのプレゼンでひと息つけたけど…

卒業直後にヨーロッパ、アフリカ、アジアと回り、現地の投資家や企業家に会うたびをしようと思っています。段取りが結構大変…

卒業式には父母が来ます。おっさんの年齢になって恥ずかしいですが、わりとアメリカではこれが普通で、ほとんどの人の家族が来るんじゃないかな。まぁ、セグウェイにでも乗せてあげようと思います。

2011年4月11日月曜日

Last Quarter!!

と、いうことで、今学期も4つ授業をとることにしました。

International Corporate Finance
New Venture Strategy
Money and Banking
Marketing of Services

本当は3つで良かったし、できるだけほかの事に時間を割きたいのですが、どうも先学期くらいから授業での学びのレベルが確変状態になってきたので、ここはちょっと頑張るか、ということで4つ。今のところどの授業も異常に面白いです。先学期と比べると予習の量も大分少ないので楽だし。

中でも、International Corporate Financeというクラスは、IMFの元チーフエコノミストにして現インド首相のEconomic AdvisorのRaghuram Rajanというシカゴ大のスーパースター教授が教える授業なのですが、これが異常に面白い。1週目がミャンマーのパイプライン、2週目が世界各国の電力プロジェクトのポートフォリオマネジメント、そして来週はPetroBras(ブラジルの石油会社)と、まさに新興国インフラ投資関係のケースの連続。ケースがあまりに面白くて、読み出すと止まらない感じ。授業のハンドリングもなかなか良く、特に国際マクロの観点からの洞察が今のところアツい。研究・実務ともに活躍されている方だからか、エネルギッシュで、オーラが出ている感じです。

僕にとってはこの2年間で一番取りたかった授業だったこともあり、力が入ります。授業の合間にコーヒーを飲みながら先日行ったブラジルの投資関係の雑談をしたりして、出来るだけお近づきになろうとしています。ちなみに、彼の著書"Fault Lines"(最近若干不謹慎なタイトル)にサインを貰って先日のトレックに持っていったのだけれど、自分の分にもサイン入れてもらうのをすっかり忘れていた…

2011年4月5日火曜日

春巡業終了

シカゴに戻ってまいりました。期末試験が終わり、すぐにサンティアゴ(チリ)、リオ・サンパウロ(ブラジル)に飛び、先週の水曜日にシカゴに戻り、さらに週末はボストンに行ってきました。

南米の旅はインフラストラクチャー・トレックということで、昨年の春学期と同じく、インフラ投資家・オペレーターに話を聞きに行ってきました。その後のボストンは、ハーバードで開催されたInternational Development Conferenceに出席してきました。

ま、昨年と全く同じ感じなんですが、さすがに2週間連続で移動していて、疲れた…。とはいえ、今学期がBoothでの最後の学期なので、一休みしてガンガンいきまっせ。