2010年3月15日月曜日

Customer Analysis on OLPC

僕としては国際開発(International Development)というのは極めてロジカルなプロセスだと思っているが、外国の話となるといきなり右脳全開になってしまう人がアメリカでも多い気がする。

100ドルPCで有名なOLPC(One Laptop Per Child)が学校に来たので話を聞きに行った。Linuxを使って途上国の教育向けにパソコンを開発し、アフリカや中南米の教育セクターに大量に流通させ、今も新しいラップトップを開発しているという話。現在開発中の新しいPCはキーボードもタッチパネル式になっているらしく、Nintendo DSを大きくしたようなインターフェースで面白かった。

しかし、何故、教育がターゲットになるのか?僕の印象としては、こういうラップトップは教育よりもインドやエジプトの中小企業での在庫管理や工程管理に需要がありそうな気がする。そんな中で、教育を対象にするのは、恐らく、エンドユーザーの都合というよりも、話題性とそれに伴う政治家等大口の顧客の獲得、大手企業からの支援の獲得といったメリットによるものではないかと思っている。

事業自体が教育に及ぼすインパクトは目下検証中、とのことであったが、今までどおりのChalk & Talkで授業を行うのであれば教科書とノートを大量に配ったほうが安くつくし、インタラクティブな授業が必要なのであれば教員の質を向上させなければならない。もちろん、ネット配信で独自の教育パッケージを提供できるようになれば、パソコンの優位性は確保できるかもしれないし、そもそもパソコンリテラシー自体が大事だという考えもあるとおもう。しかし、パソコンのエンドユーザーになる教員・児童・父母のニーズが(他の教育関連支出に比較して)現時点でそれほど高いとは思えない。(おそらくはある程度所得水準が高い国・地域であれば、パソコンのニーズは高いと思う。)

他方で、政治サイドとしてはこのパソコンは結構おいしい。アフリカで小学校を作ると現地の業者を雇ってもちゃんとモルタル塗った組石造であれば、1教室100万円程度はかかるので、同じ金で100個ラップトップを買ってばら撒いたほうが安くつく。事実、最初に買いにきたのはリビアのカダフィをはじめとする大物政治家らしい。

加えて、開発サイドに関しても、インドの中小企業に売る、という名目ではアメリカ国内で無償のサポートは得られないだろう。だから教育なのだ。戦略としては素晴らしい。PCを教育に如何に役立てていくかはパソコンを普及させながら考えていけばいいのだし、このプロジェクトが無ければアメリカのIT Geek達の能力はうまくMobilize出来なかっただろう。

ただ、若干宣伝の仕方が気になった。彼らのプレゼンでは、「水も食料も無い地域にパソコンを送る意味があるんですか?とお考えのかた、パソコンを「教育」に置き換えて考えてください。教育は全ての基礎になります。」というビデオが流されたが、こと教育に関して言えば、アフリカの就学率、識字率、平均就学年数を考えると、やっぱりちゃんと教えることの出来る人が田舎の何も無い地域でも教員として働くことができる環境を作ることのほうが余程大事な気がする。まぁそれは僕の勝手な思い込みかもしれないが、もう少しちゃんとパソコンが何で必要なのかを教えてくれてもいいんじゃないの?それとも、支援者は子供達がパソコンを貰って喜ぶ顔を見るために寄付しているのかしらん。

と、マジメに反論するのもいかがかと思うが、この業界は情報があまりにも非対称すぎる。それを使ってのプロモーションは少なくとも僕には出来ません。

2 件のコメント:

  1. This is very interesting and relevant to my work in UNESCO's ICT Competency Framework for Teachers. 私も思うところがあるので、また今度相談させてね!

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  2. Thanks, エジプト行きたい。この2年間の間に絶対行きます。

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